yohnishi’s blog continued

webry blog から引っ越してきたブログです

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

彭浩翔映画製作七周年記念作 『破事兒 (些細なこと)』

今や東京国際映画祭(TIFF)常連ながらも、一作も劇場公開されないパン・ホーチョン2008年お正月映画(2007年暮れ公開)。映画製作開始7周年と言うことで、7つのエピソードのオムニバス映画。この作品も2008年秋のTIFFで日本上映された。 ○不可抗力 ベッドで達…

韓国社会の定点観測映画 『タクシーブルース』

日本でも梁石日(ヤン・ソギル)の小説「タクシー狂想曲」(映画『月はどっちに出ている』の原作)があるが、本作品もまた、韓国ソウルのタクシー運転手という立場から見た、韓国社会の定点観察という色彩の強いドキュメンタリー映画。鄭義信によって脚色された…

チョ・スンウ主演 70年代サブカルチャーを描く韓国映画『ゴーゴー70』

1970年代、パターナリズム全盛であった朴正煕維新体制下で、唯一の若者の不満のはけ口であったサブカルチャー、ロック、ソウル、ゴーゴー等のグループサウンズ文化とその弾圧の状況を描いた映画。事実に基づきながら再構成した作品だという。 1972年慶尚北道…

台湾の"青春グラフィティ"映画 『九降風(九月の風)』

1996-7年の台湾北部の都市新竹郊外を舞台に、そこに暮らす高校生たちを主人公にした青春グラフィティ映画。高校生たちの友情とその崩壊、挫折を、当時台湾で問題になった野球八百長事件を象徴的背景としてオーバーラップさせながら描いていく。林監督の半自…

文字通りのアート映画、キム・ギドク15番目作品『悲夢』

オダギリ・ジョーの出演が話題となった、キム・ギドク作品映画。まもなく日本公開も予定されている。 映画は印鑑の篆刻師であるジン(オダギリ・ジョー)と、近所に住む女性ラン(イ・ナヨン)を中心に展開する。ジンは最近恋人と別れ、ランも恋人に裏切られ傷心…

ガザを理解するためのドキュメンタリー映画

現在、パレスチナのガザでのイスラエルとハマスの緊張が高まっている。この機会に、今まで私のブログで紹介してきたガザ理解に役立つ海外盤DVDのページをまとめて紹介しておく。 『ガザに死す(Death in GAZA)』 http://yohnishi.at.webry.info/200807/articl…

「キムチを売る女」のチャン・リュル監督の最新作『境界』

中国朝鮮族の映画監督チャン・リュル監督の最新作。今回は韓国、モンゴル、フランスより出資を受けて制作されている。 中国国境に近いモンゴル。ここに遊牧しながらこれ以上の砂漠化防止のため、木を植えることを天職として従事している男がいる。しかし男の…

『私に栄誉を!』 -中国映画-

黄建新監督2005年製作の中国映画。黄建新は『王さんの憂鬱な秋』『黒砲事件』など、微妙な人間関係から来るトラブルや含蓄を描いた作品が多く、問題提起的。その映画の後味は複雑で、常に考えさせれる。本作品も例外ではない。 ある日、南京の新聞社に「善行…

台湾映画2008年最大のヒット作『海角7號』

2008年台湾映画界最大のヒット作で、既に香港でも公開されている『海角7号』。内容は簡単に言うと、台北でミュージシャンになれず、故郷の恒春に戻った台湾の青年と、ホテルのプロモーションの仕事で恒春にやってきた日本人女性とのラブストーリー。それに6…

ヤクザ版「灰とダイヤモンド」? 韓国映画『熱血男児』

ヤクザの復讐劇を描いた2006年度の韓国映画。本作品のあらすじは例えば下記のサイトを参照。 Goo映画 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13220/index.html 映画生活 http://www.eigaseikatu.com/title/23507/ 本作品の特徴を一言で言うと、現代…

中国映画『戦場のレクイエム(集結號)』

1/10に早稲田大学で行われた早大中国人留学正解主催の試写会で見た2007年製作の中国映画。中国で大ヒットしたという戦争映画。内容は、一言で言えば、戦争の犠牲になった兵士の名誉回復への苦闘を扱ったもの。 従来の中国の戦争映画というとイデオロギー色の…

漢字が読めないのは、ささいな問題?

1/8付け朝日新聞「私の視点」の中の記事で、次の様な一節が掲載されていた。「麻生氏は民意だけでなくテレビもつかみ損ねたと言えるだろう。カメラの前で漢字の読み間違いを繰り返すことで、信頼を大きく損なった。漢字の読みというささいなミスが、その後の…

ペ・チャンホ版「西便制」『道』 -韓国映画-

2004年に製作されたペ・チャンホ監督の映画『道』。インディペンデント映画として製作されたが配給が付かず、2006年に韓国映画振興委員会の封切り支援援助を受けて、「スポンジ」の配給でようやく公開された様だ。内容は一言で言うとある男が20年掛かって「…

公共の敵シリーズ第3作 『公共の敵1-1: カン・チョルジュン 』 -韓国映画-

公共の敵、公共の敵2と来て、三作目は公共の敵3ではなく、1-1となった。というのはソル・ギョング演じるカン・チョルジュンは2作目では検事だったのに対し、再び刑事に戻り、1の実質的な続編になっているためだ。監督はそのままカン・ウソクだが脚本には今…

既視感が漂う 『一半海水一半火焔』 -香港映画-

カンヌ及びトロントに招待された香港映画界の話題作とのこと。話題作だということととりあえずDVDジャケット写真の印象で中身を知らずに注文して見た作品。内容の印象としてはキム・ギドクの『悪い男』に北野武風自己破壊衝動的テイストのソースを掛けて処理…

ミシェル・クレイフィ監督『ガリレアの婚礼』

最近でこそぼちぼちパレスチナ映画が紹介される様になってきているが(例えば『パラダイス・ナウ』『D.I.』等)、本作品は20年以上前、1987年に製作されたパレスチナ映画(出資はベルギー、フランス)。おそらくパレスチナからの視点を世界に紹介した最も古い映…

ハン・ヒョジュ主演の愛すべき小品映画 『走れ自転車』 -韓国映画-

2008年夏に韓国で公開された韓国映画。壮大なドラマや凝ったプロットで見せる様な映画でもメロドラマでもなく、日常的な家族の問題や恋愛(といってもメロにならない)を通して青春期(20歳)の女性の精神的成長を描く映画。感覚的には韓国映画というよりは、例…