
1970年代、
パターナリズム全盛であった朴正煕維新体制下で、唯一の若者の不満のはけ口であった
サブカルチャー、ロック、ソウル、ゴーゴー等の
グループサウンズ文化とその弾圧の状況を描いた映画。事実に基づきながら再構成した作品だという。
1972年
慶尚北道大邱近郊のウェカン(
倭館)米軍基地前。米兵を相手にした酒場で演奏を行うバンドが腕を競っていた。その中の一人がサンギュ(
チョ・スンウ)。彼はソウル・ミュージックに魅せられ、"デビルズ"という6人組のバンドを結成。それにサンギュのファンである酒場に働いていた女性ミミ(
シン・ミナ)が彼らにつきまとっていた。しかし
大邱ではいつまでもぱっとしない。そんな中サンギュに徴兵通知が来る。今徴兵されたらヴェトナムに送られて犬死にだ... 徴兵逃れとぱっとしない状況からの脱出のためミミを連れて彼らはソウルへ上京し、音楽コンクールに出場。優勝は逃したが印象的だとしてアイドル賞を獲得。さて、ソウルデビューだと意気込むのだが、その直後、朴正煕の維新体制、
戒厳令と夜間通行禁止措置でポップ音楽への市場が冷え込み、一向に演奏の場が見つからない。
やむを得ずコンクールの審査員だった「週刊ソウル」の記者に泣きつく。そこで彼は、
戒厳令のお目こぼしを得やすい高級ホテルに目をつけ、ホテルの一角に「
ニルヴァーナ」というポップ音楽クラブを開き、当時最高人気だった「フェニックス」や「デ
ビルス」などバンドに演奏させることを思いつく。
「デビルズ」はソウルの人気バンドの中、彼らの人気は最低だったが、やがてバンドの演奏に合わせて観客たちにゴーゴーダンスを踊らせることで人気急上昇。やがてトップバンドに上り詰める。
ところが政府は
戒厳令の隙を突いて好ましくない不健全文化がはびこっていると、若者の
サブカルチャーに対する規制・弾圧の姿勢を強め、さらに同様なクラブの火災事件で、「デビルズ」のメンバーの一人が焼死してしまう...

この映画の主題は、70年代、朴正煕政権下の
パターナリズムによる若者の
サブカルチャーの弾圧と彼らの抵抗の模様を、音楽という
ポップカルチャーを通して描くことにある。DVDに収録されているライナーノートには「
ニルヴァーナ」というクラブや「デビルズ」というバンドは当時実在したという。またこの映画の主人公であるサンギュが徴兵逃れをし、さらに体制に対し反抗的だったのも、彼の父が「アカ」であった(そして、おそらく体制側によって虐殺された)というバックグラウンドから来るものとして設定されている。体制、
パターナリズムに対抗する手段として、
ポップカルチャーが描かれている(このあたりの
パターナリズムの様子は、「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません勝つまでは」などのスローガンが横行した日本の戦時中を彷彿とさせる)。警察が男の長髪やミニスカートを取り締まっている様子などの当時の世相が描かれている。
この映画に描かれるエピソードのどこまでが事実に基づいているかは分からないが、韓国現代史の一断面を見せてくれる映画だと言えるだろう。
なお、
チョ・スンウらが演じる「デビルズ」の演奏はかなり上手く(演奏の多くの場面は吹き替えなしだそうだ)、
チョ・スンウのヴォーカルぶりもなかなか堂に入ったものである。実際に映画で演じた彼らは弘益大前のクラブでコンサートを行ったようで、そのコンサートの模様がDVDの特典映像に収録されている。また
シン・ミナのゴーゴーダンスも本映画の見せ場となっている。
なお、監督は『フー・アー・ユー?』『バイジュン』などのチェ・ホ。
原題『고고70』監督:최호
2008年
韓国映画
DVD(韓国版)情報
販売: KD MEDIA 画面:
NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1/DTS 韓国語 本編: 120分
リージョン3 字幕: 韓/英 片面二層(特典盤を含む2枚組) 2009年1月発行 希望価格W25300
▼国内版DVDリリース決定