yohnishi’s blog continued

webry blog から引っ越してきたブログです

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

実は内容の濃い韓国映画『スカウト』

この作品は思いがけず良い作品だった。高校の野球選手をスカウトに行く話...と聞くと一見スポーツ映画かと思わされるのだが、実はこの映画の主題はスポーツではない。思想的なところに主題がある。本作品を見て真っ先に思い出したのが、アルゼンチンの軍事政…

イ・ユンギ監督+原作平安寿子の第2弾『素晴らしい一日』

前作『アドリブナイト』で日本の平安寿子の短編小説を映画化したイ・ユンギ監督の、平作品映画化第2作。本作品も、見て、拾いものをしたという感じの持てる心温まる映画に仕上がっている。 ヒス(チョン・ドヨン)は1年前に別れたビョンウン(ハ・ジョンウ)に…

韓国人の心象風景の原点の一つ 映画『夕立(ソナギ)』

1979年コ・ヨンナム監督作品で小学生の初恋を描いた映画。DVDのライナーノートによると、本作品は封切り当時さほど興行成績を残せなかったが、韓国映画史上初めてベネチア、ベルリン映画祭に招待されることで人々に知られるようになり、その後何度もTV放映さ…

浅川巧の伝記映画 映画化始動

浅川巧という人物をご存じだろうか? 朝鮮の日本植民地時代、朝鮮に渡って林務官として勤務しながら朝鮮陶磁の価値を再評価した人物である。今日朝鮮陶磁は韓国のみならず国際的にもその芸術性を高く評価されているが、浅川巧は当時朝鮮の人々からすらも顧み…

KBS製作の艶笑譚映画『夫婦クリニック 愛と戦争:12番目の男』

韓国KBSの人気番組に「夫婦クリニック 愛と戦争」という毎週火曜日に放映されている番組があるそうだが、ここで紹介する映画はその「劇場版」と銘打った作品。オリジナルの番組は離婚騒ぎに至った実例を取材して、それ基づき夫婦の離婚騒ぎをドラマ化しその…

スリを題材にした台湾映画『指間的重量』

韓国映画『無防備都市(ファム・ファタール)』同様スリを題材にした台湾映画だが、その趣はだいぶ異なる。スリ生活を通して、"正常"な社会の中に居場所を見つけられない少年が自分の居場所を発見していくというお話であり、『深海 Cha Cha Cha』等、人間の心…

若かりしジュディ・オングが出演する1975年台湾映画『煙雨』

シンガーソングライターであった劉家昌が監督した1975年台湾映画。女性関係に躓きながらも何とか維持される3人の男の友情を描く娯楽作品で、その「躓きの石」として、若かりしジュディ・オングやブリジット・リンが出演。 青年実業家煥声(岳陽)、義章(泰祥…

文化財返還を巡る韓仏間トラブルを描く映画『Coreen 2495』

文化財返還問題を扱った韓国のドキュメンタリー映画。 "Coréen 2495"とは朝鮮王朝の王族の葬儀儀式の手順を記録した書籍「徽慶園園所都監儀軌」上巻のフランス国立図書館(BNF)における登録番号(朝鮮語文書2495号の意味)。現在この書籍は韓国にあるが、それが…

『アザー・ハーフ』 - 中国インディペンデント映画 -

中国インディペンデント映画祭での上映作品。四川省の地方都市を舞台に地方都市の閉塞感、生活感覚を伝える映画。 恋人と同棲している小芬は弁護士事務所でクライアントとの相談内容を記録する書記の仕事にありつく。彼女は毎日離婚の相談、労働問題の相談、…

中川財務相 アル中なのでは?

中川昭一財務相が辞任することになった。本人の弁だと風邪薬を飲んだ上にアルコールも入ってとのことだが、TVに映し出された模様を見るとアル中なのではという疑いを禁じ得ない。 かつてアル中の人が身近にいたことがあったが、アル中の人はアルコールを抜…

若くして逝った映画作家ラリーサ・シェピチコのデビュー作 『翼 (Wings)』

旧ソ連の女流映画監督で、40歳の若さで4編の映画を残して逝ったラリーサ・シェピチコの作品。彼女は、1978年に『処刑の丘 (Ascent)』がベルリン映画祭で金熊賞を受賞し世界的に知られるようになった矢先の1979年に自動車事故のため亡くなった。日本では『処…

韓国版「にあんちゃん」と言うべきか 1975年作品『母さんのいない空の下』

塩田で働く一家の子供たちが、貧困の中でも懸命に暮らしていこうとしていく姿を感動的に描く、イ・ウォンセ監督による1975年度製作(※DVDには1975年とあるが、各種データベースを見ると1977年映画とでているケースが多い)の韓国映画。映画の雰囲気としては韓…

ゴラン高原の政治的葛藤に翻弄される人々を描く『シリアの花嫁』

イスラエルのエラン・リクリス監督によって製作された、ゴラン高原のイスラム教ドルーズ派の人々を描く映画。エラン・リクリスは1994年に撮った、捕虜となったイスラエル兵とパレスチナゲリラを描いた『カップ・ファイナル』で当時イスラエルのボックスオフ…

27年ぶりにオリジナルが復元された韓国映画『最後の証人』

本作品は『桑の葉』『女人残酷史 糸車よ糸車』などで知られるイ・ドゥヨン監督の1980年度作品。本来は2時間37分の上映時間だったものが、公開時、当時の検閲のため時間半余りに短縮されてしまっていたものが、一昨年、27年ぶりに韓国映像資料院によってオリ…

中国女性が置かれた不利な立場を告発する『特別手術室』

『青い凧』『春の惑い』で知られる田壮壮監督の1988年作品。女性が妊娠に一方的に責任、リスクを負わせられる中国社会の現状を告発する内容の作品。 TVレポーターのルー・ユンは現在恋人がいるが、上司のディレクターとも不倫の関係にあった。しかし未婚のま…

現代版「童年往事」... 台湾映画『ORZボーイズ』

『海角7号』の大ヒットで、台湾では今まで見向きもされなかった国産映画が、80年代後半の台湾ニューウェーブ以来、再評価される動きが高まっているが、本作品も現代台湾映画の良質な部分を代表する作品の一つ。 ヤン・ヤーチェ監督による、厳しい環境の中精…

パイワン族の暮らしとその文化を紹介する『賢き狩人』

ここのところ台湾の先住民の出てくる映画を紹介してきたが、今回紹介する映画は台湾のパイワン族の暮らしと文化を紹介する映画。原作はパイワン族の亜栄隆.撒可努(アーロンロン・サキヌ)が著した同名(「イノシシ、ムササビ、サキヌ」)の自伝的ノンフィクショ…

実はメッセージ性の強い韓国映画『スーパーマンだった男』

日本でもヒットした『マラソン』を撮ったチョン・ユンチョル監督による作品。この作品は自分をスーパーマンだと信じ様々な善行をして人助けをしようとする、気の触れた男とその男を自分のTV番組の企画対象として追う番組製作プロダクションのディレクターの…

クレイフィ&シヴァン監督『ルート181』のDVDについて

本作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭2005で最優秀賞を受賞したドキュメンタリー映画。1947年国連181号議決に基づくイスラエル/パレスチナ国境線(実際にはイスラエル、パレスチナ双方から異論が出て、実際の国境線として実施されることはなかった)を旅し…

台湾蘭嶼島を舞台にしたラブストーリー映画『人之島 (Pongso No Tao)』

先日も蘭嶼島を舞台にした先住民(タオ族)の男性と漢族の女性のラブストーリーである『飛び魚を待ちながら』を紹介したが、本作品も同設定のラブストーリー映画。但し『飛び魚を待ちながら』の方はラブコメディ的要素が強いが、こちらの方は二人の女性の間で…