yohnishi’s blog continued

webry blog から引っ越してきたブログです

アメリカ映画

フォークランド戦争をアルゼンチン側から描く 『Blessed by Fire』

1982年4月~6月に起こった南米のフォークランド諸島(アルゼンチン名:マルビナス諸島)の帰属を巡るフォークランド(マルビナス)戦争を、負けたアルゼンチン側から描いた初めての映画。また、戦争終結後フォークランド諸島で撮影された初めてのアルゼンチン映…

『悲しみのミルク』

ペルーのノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス・リョサの姪である、クラウディア・リョサ監督の長編第2作。本作はベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞している。 あらすじはこちら(Goo映画) http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18067/index.h…

『Mail Order Wife』- アイディア秀逸! ブラックな笑いに満ちたアメリカン・インディー

2005年サンタ・バーバラ映画祭で、最優秀インディー映画賞を受賞した作品。監督はハック・ボッコとアンドリュー・ガーランドの共同。DVDのカバーには「真実は小説より奇なり」とある。 ドキュメンタリー映画作家のアンドリュー(Andrew Gurland本人)は、白人男…

『ハポン』 - 自殺を決意した男の心の彷徨を描く

スペイン語で「日本」と名づけられたこの作品は、日本とは何の連関もない。都会で疲れ果て、孤独に陥って自殺を決意した男が、メキシコの田舎にやってくるが、そこで再び生きる力を取り戻していくというお話。メキシコの映画監督、カルロス・レイガダスのデ…

今更ながら『グラン・トリノ』評

だいたい私はあまのじゃくなので、皆が皆見る映画、ハリウッド映画の名作などというものは避けて通る口。ただ、本作は評価は高いものの、日本国内では余りヒットしなかったようだ。それにクリント・イーストウッドの映画は何か一言、言いたくなる。という訳…

『American Fusion』- アジア系米国人ラブ・コメディ

2005年のカルフォルニアが舞台となったアメリカ映画。息子もいるある中国系アメリカ人の中年女性の結婚を巡るドタバタをテーマにしたコメディ。様々な文化的摩擦状況を笑いのネタにしている。 イヴォンヌ(Sylvia Chang)は、50代を目前に控えた台湾から渡って…

『Big Dreams Little Tokyo』- リトル東京が舞台の日米文化ギャップコメディ

日本未紹介、ロスのリトル東京を舞台にした日米文化ギャップコメディ、というよりはカルフォルニアならではの文化ちゃんぽんコメディというべきか。監督、脚本兼主演は日本語に堪能なデイビッド(デーブ)・ボイル。 Wikipedia英語版の記述によれば、本作のア…

『Snow Flower and the Secret Fan』 - リサ・シー代表作の映画化

『スモーク』『ジョイラック・クラブ』『チャイニーズ・ボックス』などで知られる香港出身中国系アメリカ人ウェイン・ワンの最新作。李冰冰、および韓国女優チョン・ジヒョンが主演。原作は中仏混血のリサ・シー(パリ生まれ、ロサンジェルス育ち)の同名小説…

E.J.エプスタイン著『ビッグ・ピクチャー』

ハリウッドの、映画製作ビジネスとしての側面をえぐり出した作品。非常に面白いが、一方、映画の世界に夢を見いだしたい人には、ここまで金計算尽くで映画の設定、プロットやストーリーが決められているのかと知れば、幻滅してしまうかもしれない(特に第二部…

『Long Life, Happiness and Prosperity』- 中国移民inカナダ映画

中国系カナダ人女性監督ミナ・シュンによる、カナダ広東系中国移民社会を扱った作品。 カナダ東海岸、バンクーバー。そこでは広東系中国移民たちが厳しい生活を耐えしのいでいる。 12歳の女の子、ミンディ(Valerie Tian)は、シングル・マザーの母キン(Sandra …

『Never Forever』 - 韓国人監督が米国で撮った異文化摩擦がらみの三角関係を描いた映画

韓国人映画監督、キム・ジナがアメリカで撮影した作品。在米僑胞と結婚したアメリカ白人女性の心の彷徨を描いた作品。 ソフィア(Vera Farmiga)は、成功した弁護士である韓国系米国人アンドリュー・リー(David Lee McInnis)と結婚している。彼女は夫を愛して…

読み損なわれる『硫黄島からの手紙』イーストウッド硫黄島戦争映画2部作

2006年にクリント・イーストウッドが撮影した硫黄島の戦いを描いた『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』の2部作。すでにその内容はご周知のことであろう。 あらすじはこちら 『父親たちの星条旗』goo映画 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCS…

『波に流れて』: ペルーの美しい漁村を舞台にゲイの悲劇的関係を描いた南米映画

南米の不思議な雰囲気を持つゲイ映画。ペルーの漁村の青年と都会の金持ちの青年との男性同士の困難な恋愛を描く。 ミゲル(Cristian Mercado)はペルーの砂浜の美しい漁村の猟師。彼には、新婚で現在身重のマリエラ(Tatiana Astengo)という妻がいる。猟師仲間…

現在でもアルゼンチン理解のための最重要映画『オフィシャル・ストーリー』

1985年、ルイス・プエンソ監督によって撮られたアルゼンチン映画。軍事政権によって虐殺された人々の養子にやられた子供の問題を描いた作品。国内では1987年に松竹富士によって配給され、VHS、レーザーディスクも刊行されたが、今日では配給権切れとなってお…

ニューヨークを舞台にユダヤ女性とアラブ女性の友情を描く『Arranged』

パームビーチ・ユダヤ映画祭、バークシャー国際映画祭で観客賞を受賞した作品。必ずしもプロの目から高い評価が与えられている訳ではないが観客から高い支持を得ているのが特徴。ニューヨークの小学校で働く新米のユダヤ人教師とアラブ人教師の友情を描く。 …

小さな恋人たちの家出旅行を描いた『ビバ・キューバ』

2005年キューバ映画。小さな恋人たちの家出旅行を描く映画。 幼なじみの小学校高学年、女の子マル(マル・タロー・ブローチェ)と男の子ホルヒト(ホルヘ・ミロ)。二人はいつも遊んでは喧嘩ばかり。大概は身体の大きいマルが「大将」になりたがって、一緒に遊ん…

『The Cove』上映中止騒動

『靖国』に続いて『The Cove』も上映中止騒動が起こっているようだ。 毎日jp gooヘッドライン http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/entertainment/movie/20100605ddm012040002000c.html こういう、日本にとって「不愉快」な言論を封じようとする人々の発…

結末には絶句... 人種差別意識をえぐる大問題作 『Sorry, Haters』

先日、障碍者差別の悪意を露悪的に表現した韓国映画『人を探しています』を紹介したが、本作はそれを上回る問題作にして、衝撃作。こちらは人種差別意識(racism)を扱っている。 ニューヨーク、マンハッタンのシリア人タクシードライバー、アサド(Abdellatif …

パレスチナ人のアメリカ移民生活を描く『Amreeka』

パレスチナ系女性監督Cherien Dabisの手による、アメリカに移民したパレスチナ人の孤軍奮闘を描く作品。 ムナ(Nisreen Faour)は、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で息子ファディ(Melkar Muallem)、母親と暮らすシングルマザー。夫は女を作って家を出奔…

『チェンジリング』に見るクリント・イーストウッドの反権力性

人のあまり見ない映画ばかり漁っているので、あまりハリウッドの鳴り物入り大作を見る気になれない自分であるが、クリント・イーストウッドの作品ということで遅ればせながらレンタルDVDにて鑑賞。良い意味で期待を裏切られた作品だった。 『父親たちの星条…

『The Cove』はオリジナル版を見ないと批判できない?

いろいろ話題沸騰になっているイルカ漁告発映画『The Cove』であるが、ともかく映画を見てみないと話にならないので、アメリカ盤DVDを入手。すでにたくさんのサイトで内容が紹介されているので、改めてここでその内容を紹介することはしない。 ただここでイ…

NYを舞台にエスニシティを肯定的に捕らえた心温まるロマンス映画 『Bella』

2006年、ニューヨークを舞台に撮ったアメリカ映画。様々な異民族が行きかうニューヨークで、彼らの持ち込むエスニシティを肯定的に捕らえて展開される、メロ・ロマンス映画。 国際的に活躍するあるヒスパニック系アメリカ人のサッカー選手が、高額な契約に署…

在米コリアン2世の若者たちを描く『Yellow』

日本にも在日韓国人たちがいるが、最近韓国人の移民先で多いのはやはり何と言ってもアメリカ。在米韓国人1世の立場を描いた作品は『ディープ・ブルー・ナイト』やロス暴動を描いた『ウェスタン・アヴェニュー』など、既に何作も知られている。最近ではキム・…

『The Cove』アカデミー賞受賞の波紋

日本のイルカ漁を批判したアメリカのドキュメンタリー映画『The Cove (入り江)』がアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した。 その受賞を伝えるTVのワイドショーなどのメディアの反応である、決してメッセージが評価された訳ではなく、エンタテインメント…

メキシコ越境者を追うドキュメンタリー『De Nadie (越境)』

中米からメキシコに越境し、4000kmを通過して合衆国に向かう越境者は毎年20万人にも上るという。本作品はこれらの越境者を追った作品。 本作品でインタビューに応じているの越境者は、ハリケーンのため家を失い、病気の夫や子供たちをホンジュラスに残してア…

「変態的に」面白い!? Caveh Zahediの自伝的映画『I am a Sex Addict』

アメリカのインディーズ映画監督、カヴェ・ザヘディの自己のセックス中毒(というよりは売春中毒と言うべきか)歴を綴った驚きの自伝的映画『I am a Sex Addict (僕はセックス中毒者)』。イラン系と思しき監督の名前から、イスラム的価値観と西欧的価値観の間…

アメリカ製作セミドキュメンタリー映画『Nanking』

最近、独仏中合作で製作された南京のシンドラーとも言われる人物を描いた『ジョン・ラーベ』が日本で公開されないことが話題になっている。本作品もジョン・ラーベら1937年南京事件の際、中国人保護にあたったジョン・ラーベをはじめとする欧米人の活躍に焦…

アメリカ映画『Wings of Defeat (邦題: 特攻 -TOKKO-)』

日系米人リサ・モリモト監督が神風特攻隊への生き残り隊員たちにインタビューを行ったドキュメンタリー映画。原題の『Wings of Defeat』は「敗北の翼」という意味で、日本での公開邦題よりも原題の方がこの映画の内容を示すのにふさわしい。 既に日本公開時…