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1月韓国盤DVD化、韓国映画評

 2015年1月に韓国でDVDとして刊行された韓国映画の、韓国の映画情報サイト、シネ21(一部ダウム映画)における評価を以下にまとめてみた。以下、発行日は Yesasiaサイト記載の発行日、分野はシネ21の区分によるもの、評価平均は評論家及び一般ネチズン評価の平均値(満点10点)[下段はDaum]、投票総数は評価投票の総数で( )内は評論家の投票数[下段はDaum]、評論家評価平均はシネ21が選定した評論家の評価平均値、評価幅は評論家の最低評価-最高評価点、代表的な声は、評論家および一般ネチズンによる映画の一行評を見て、筆者がだいたいの傾向と思われるものを記述。

 なお、廉価版DVD再発の映画は除外している。

 一般的にはシネ21は映画マニアを自認する人がアクセスする傾向が強く、Daumはより幅広い層がアクセスする傾向にある。シネ21の評価が高く、 Daumの評価が低い場合はシネフィル向きのアート映画、逆にDaumの評価が高く、シネ21の評価が低い場合は娯楽プログラムピクチャーだと推測できる。また、評定者数が少ない場合は当然誤差が大きくなる。特にDaumで評定者数が1桁の場合は高得点が出る傾向にあるので注意。

 今月の最大の話題作は、話題の時代劇『群盗:民乱の時代』。評を見る限りでは、とりあえず、娯楽作品としては及第点という感じか。なお、アメリカでは既にBDが発売されているので、韓国語字幕にこだわらないなら米国盤も選択肢に入るだろう。監督は、ハ・ジョンウのデビュー作だった『許されざる者』、そして『ビースティ・ボーイズ』『犯罪との戦争』など、男臭い映画を作ってきたユン・ジョンビン。

 その次は『トキメキわが人生』。早老病の少年を主人公にしたメロドラマ。評価は単なるお涙頂戴とする物と、そこにある程度哲学的な問題意識を見いだそうとする人の間で二分。香港盤BDが出ている。監督は『純愛譜』『スキャンダル』『多細胞少女』などで日本にもお馴染みの、イ・ジェヨン。

 そして『マダム・ペンドク』。古典の「沈清伝」の再構成という試みのようだが、これも評価は二分。その挑戦を評価する者と、単なる官能物に終わったとするかで差がでている。因みに、監督は『アーティスト・ポン・マンデ』に出演していたイム・ピルソン。ひょっとして官能シーンの演出はポン・マンデ監督?。

 多様性、およびマイナー映画の中では、同性愛をカミングアウトしているイソン・ヒイル監督の『夜間飛行』が今月もっとも評価が高い。青春の痛みと友情を同性愛を絡めて描いた作品らしいが、映画の美しさ、そしてその余韻を評価する声が高い。 

 そして、朝鮮族、チャン・リュル監督の『風景』。外国人労働者が韓国に抱く夢を描いたらしいドキュメンタリー。省察の深さを評価する声もあれば、単調さを嘆く声も。

 『昆虫王国』は昆虫のミクロの世界を描いた3D映画。その美しさを評価する声もある一方で、MBCで既に放映された物の焼き直しと批判する声も。Daumの低評価は映画の内容そのものに起因すると言うよりはTVの焼き直しという点で批判されていると見てよいだろう。『私の恋愛の記憶』は、ラブコメとホラーの融合という破格の映画。ただ、最終的なその成否に関しては、批評は二分されている。とはいえ、その大胆な試みには一度見てみる価値はありそう。『千回呼べど』は、いじめ問題を扱った作品。残念ながら専門家評はなく公開規模も限定されていた模様。韓国社会にとって非常に重要な問題提起だとする声の一方で、頭に来るとする評もあり、完全に評価は二分。ただ本作品も、韓国社会に関心のある人は見てみる価値はかなりありそう。『ワンナイト・オンリー』はクィア映画のもう一人の旗手、キムジョ・グァンス監督と、キム・テヨン監督のオムニバス映画。但し、キムジョ・グァンス監督の批判精神の喪失に辛辣な声も。

 『設計』は、女性の復讐譚映画でプログラム・ピクチャーとして作られた作品。久しぶりのシム・ウンギョンだが、その劣化ぶりが残念。点数は妥当だろう。『少女怪談』もホラーのプログラム・ピクチャーだが、ありきたりと低評価。韓国盤DVDは無字幕なので、興行的にはかなり失敗した物のようだ。でも香港盤BDが出ている。

 来月に関しては、現在のところかなり笑えるらしいコメディ時代劇『海賊: 海に行った山賊』、およびWeb漫画原作の『ファッション王』がリリース予定にあがっている。

なお、韓国版Blu-rayの発売はなし。

また、海外の韓国映画BDの発売&予定は次の通り。

1/7 『ラブレイン』 日本・ポニーキャニオン (日字幕) 

1/20 『海賊: 海へ行った山賊』 米・ (英字幕)

1/21 『サスペクト 悲しき容疑者』 日・ワーナー (日字幕)

1/22 『トキメキわが人生』 香港・Deltamac (英中字幕)

2/3 『タッチャ -神の手- (2013)』 香港・Intercontinental Video (英中字幕)

2/4 『監視者たち』 日・クロックワークス (日字幕)

4/2 『レッド・ファミリー』 日・ギャガ (日字幕)

4/2 『泣く男』 日・CJ Japan (日字幕)

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