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ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督長編デビュー作『Kasaba - 街』 - トルコ映画

画像 今年カンヌ映画祭でグランプリを取った、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の長編デビュー作。トルコのある田舎町の情景を子供たちの視線で描いた作品。あらすじらしいあらすじがなく、いわば子供の目から見た心象風景画といった趣。 あらすじに関してはこちら(シネフィル・イマジカサイト http://cinefilimagica.com/movie/m9/009150.html)  前回紹介した作品も、日常的なミクロな情景を通した心理描写のきめ細かさが印象的、とコメントしたが、本作はそれこそミクロな情景のみというかなり極端な作品。1から4部にまで分かれるがおそらく冬~秋にかけての情景を、それぞれ子供の目線で切り取った風景で代表して描いているものと思われる。そういう意味では長編デビュー作からその資質がクリアに出ていたわけである。  映画からプロットなどのファクターを除き、何がどう映っているかという純映像的関心から映画が見られる、コアなシネフィル向きの作品。  本作品は1998年ベルリン国際映画祭に出品され、カリガリ賞を受賞したほか、東京国際映画祭でもシルバー賞。またシネフィル・イマジカでも放映されたようだが、国内盤DVDの刊行や一般劇場公開はない。  なお、フランスPAL盤DVDは、本作に関していえば、16/9との表示があるにもかかわらず看板に偽りありで、4/3レターボックス収録(オリジナルサイズはDVDを見る限り1:1.66のようだ)。台湾盤ならともかく、フランス盤としては信じられないミス。しかも、本来1:1.85のレターボックスと同じ高さに、左右に黒い余白が入っているという、訳の分からない仕様になっており、解像度面で、素直なユーロピアンビスタのレターボックスよりさらに不利になっている。  解像度面ではかなり不利にもかかわらず、また、オリジナルフィルムのスクラッチノイズがたまに入ったりするが、テレシネ自体は意外にクリア。デジタルマスターかもしれない。但しMpegエンコーディングがあまり良くなく、動きのある場面で水平に線状のノイズが入る。フランス盤としては最低クラスの画質だろうが、一般的なレターボックス収録DVDの中では最悪は免れている。なお、Amazon.frのサイトには英・独語字幕付きと誤って情報が掲載されているが、いずれも仏語字幕のみ。  これ以外にイギリスのArtificial Eyeから、ジェイラン初期作品集(2枚組『5月の雲』とセット)として英語字幕のPAL盤と、トルコのNTV Yayinlariから3作を集めた4枚組PAL盤(英語字幕付き)が出ている。こちらの評(http://www.dvdbeaver.com/film2/DVDReviews47/kasaba_clouds_of_may.htm) を見る限りArtificial Eye盤も画質的には本作品に関しては今一つの様だ。ただ、セットとなっている『五月の雲』がイギリス盤はアナモルフィック収録であるらしいこと、英語字幕があることを考えると、仏盤よりイギリス盤の方があらゆる意味でベターな選択だろう。本作に関しても、別ソースの可能性がある。なお、IMDBにはオリジナルの上映時間が出ていないがDVDは約84分。またシネフィル・イマジカのサイトにカラーと誤って出ているが、実際はモノクロ作品である。 原題『Kasaba』英題『Small Villege』監督: Nuri Bilge Ceylan 1998年 トルコ映画 モノクロ DVD(仏盤 Nuri Bilge Ceylan作品集)  発行・発売:PYRAMIDE Video 画面: PAL/4:3(LB1:1.66=本作) 音声: Dolby2 トルコ語 本編: 82分 リージョン2 字幕: 仏(On/Off可) 片面二層(5枚組) 発行年2009年11月 希望価格 Eur 44.98 DVD(仏盤)ビットレート 平均は高いが、ピークが頭打ちになるような傾向がノイズの原因か? 画像
『Climates/うつろいの季節』映画評 http://yohnishi.at.webry.info/201104/article_7.html ジェイラン監督公式サイト(英語・トルコ語) http://www.nuribilgeceylan.com/dvd.php